お待たせしました、京谷弘司のセカンドアルバムがリリース!
  全曲アルゼンチン・レコーディング

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京谷弘司
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1枚 3,000円 送料別

1. El amanecer(夜明け)
2. El ultimo guapo(最後の下町やくざ)
3. Margarita de Agosto(8月のマルガリータ)
4. La luna del viejo castillo(荒城の月)
5. Chiqilin de Bachin〜Niebla del Riachuelo
(チキリン デ バチン〜リアチュエロ川の霧)
6. La Ciudad(街)
7. Nunca tuvo novio(恋人もなく)
8. Loca de amor(狂乱の恋)
9. El choclo
10.La ultima cita(最後の逢い引き)
11.Puglisimo
12.Seleccion de Troilo
13.A fuego lento(とろ火で)
14.Monologue(バンドネオンの独り言)

左から

淡路七穂子[ピアノ]
京谷弘司[バンドネオン]
オラシオ・カバルコス[ベース]
ミゲル・アンヘル・ベルテーロ[ヴァイオリン]


ついに、京谷弘司のセカンドアルバムがリリース!

 このアルバムから流れ出てくるものは、時代を超えた、純粋なタンゴのひびきだ。

 タンゴに新しいエネルギーを与えて前進させたアストル・ピアソラが亡くなって、もう12年になろうとしている。ピアソラの音楽の、あまりに大きな魅力が、かえって悪影響になって、より若い世代の自己表現の障害になっていた時期もあった。でも最近はアルゼンチン本国はもちろん、世界各地で自由なタンゴ表現をするミュージシャンもふえて、楽しみな時代になってきた。

 ただし、かなり多く発表されている新しいアルバムを聴くと、古くからタンゴを愛して来た人間には、タンゴ本来の感覚と異質なものを感じて「ちょっと違うなぁ」と思わされる事が少なくない。これらがやがては淘汰され、古い根に統合されて、新しいタンゴの正道になるのだろうけれど。

 この混乱の(?)時代に、ついに登場した、この京谷弘司のアルバム。----そうだ! これがタンゴなんだ! 昔からタンゴに不可欠だった、一種の重い感覚、深い精神が、ここには生きている。

 もちろん、昔のスタイルそのままで演奏しているわけではない。アストル・ピアソラの作品は1曲しかないけれど、彼の音楽感覚や、いわゆるフュージョンした表現法は随所に入っている。でも、それらもすべて、純粋なタンゴの魂の発露になっている。

 日本では、タンゴは昭和初期から演奏されていたと聞くが、本格的なアルゼンチン・スタイルの楽団がたくさん活躍しはじめたのは戦後のことだ。1950年代がひとつのピークだっと思う。

 京谷弘司は、その隆盛期の空気を吸っている人だ。といっても、どっぷり浸かっていたわけではない。それには若すぎた。故郷の大阪で、お兄さんのやっているタンゴバンドの端っこでバンドネオンを持ってすわっている少年だった。お客に大編成と見せるための小道具みたいな役目。音を出すと怒られた!

 いま日本最高のバンドネオン奏者である(と、わたしは確信している)人も、最初は弾けなかったのだ。

 ここで言いたいのは、京谷弘司はタンゴの原点を知っている人だということだ。

ピアソラは、ある若いミュージシャンに言った。「バンドネオンを学ぶ気なら、おれのところなんかに来てもだめだ。どこかのダンスバンドに入って、毎晩チャンチャン・チャンチャンやってろ。そうしなければタンゴは解らないぞ」

 ピアソラはまた、タンゴには垢(あか、スペイン語でムグレ)が必要だとも言った。
京谷弘司のタンゴには、そういうものがある。肌にしみこんだ現場の匂いがある。
それがタンゴ本来の薫りだ。

 このアルバムの共演者は、もう長いあいだ京谷弘司のタンゴになくてはならないピアニスト(彼のアレンジは彼女が弾かないと成立しないほど)、淡路七穂子だ。そして、バンドネオンの史上最高峰レオポルド・フェディリコとともに父子二代にわたって弾いているコントラバス、オラシオ・カバルコス。ヴァイオリンは兄弟で今日のタンゴ界の中心で大活躍のミゲル・アンヘル・ベルテーロ。----みんな、日本のファンには顔なじみだろう。

 バンドネオンが統合する、すべての時代を包括したタンゴのひびき・・・・・ただただ、この空気を吸ってください。

 「タンゴ評論家 高場将美氏の解説より」


*      *      *



27年前がわたしの最初の日本旅行だった。そんな時代に、もうわたしは日本の音楽家たちが、このジャンルへの大きな熱意と愛をもって、タンゴを演奏しているのを聴いた。

 今この2003年に、あの熱意は、わたしたちも本当にうらやむべきプロフェッショナルの水準に変身している。大きな才能をもった新しい若手音楽家たちがたくさんいる。そのなかで特筆されなければならいのが、わが親愛なる京谷弘司の存在だ。いま彼がプレゼントしてくれるこの素敵なCDをわたしはブエノスアイレスで聴く機会を得た。というのは、彼はわざわざアルゼンチンまで、この録音のためにやって来たからだ。

 彼はとても良いレパートリーを選び、すばらしい編曲をした。彼といっしょに演奏するのは、淡路七穂子(非常に優れたピアニスト)、そしてオラシオ・カバルコスとミゲル・アンヘル・ベルテーロ(コントラバスとヴァイオリン)だ。このふたりとは長い間良く知っている友人だけれど、このアルバムでの仕事には賛辞を送らねばならない。

 敬愛する京谷、これは真の大作品だ。君がいつも成功と共にあることを、心から望んでいる。

    君に抱擁を

 レオポルド・フェデリコ